3 「アフリカツメガエル」の飼育方法、飼育に必要な費用を分かりやすく徹底解説!!
無尾目ピパ科ツメガエル属 学名Xenopus laevis
体長6〜10cm 分布アフリカ中東部(コンゴ、ルワンダなど)
●説明
目が上を向き、全身のボディバランスの可愛いらしさからペットや肉食魚類などの餌用として
流通する。気温の変化や水質汚染に強い耐性があり、和歌山県など日本国内でも定着が確認
されている。乾季は泥の中で過ごす。上の画像は原種で、マーブル模様をしているが、全身
が薄黄色で目が赤いアルビノ種も流通する。総合飼育難易度★☆☆☆☆
●亜種
ネッタイツメガエル(X.tropicalis)
フレーザーツメガエル(X.fraseri)
を含む7亜種が知られている。
●繁殖形態
卵生。雨季に1〜2mm程度の卵を水中に生む。
●飼育方法
必要なものは大きく以下の通りである。
•飼育容器
•フィルター(エアポンプ)
•塩素中和剤(カルキ抜き)
•餌
•観賞魚用ネット(金魚網)
必ずしも必要ないが、揃えておいた方が良いものは以下の通り
•熱帯魚用ヒーター
•底砂
•シェルター
•換水用手動ポンプ
一つずつ紹介していこう。
•飼育容器
水槽やプラケースを使用する。脱走、飛び出しにより死亡するリスクが高いので、しっかり
と(隙間なく、しかし生体が通れないほどの通気口がある)蓋ができるものを選ぶこと。
広さ(スペース)はだいたい一匹の生体当たり30×30、高さ30cm程度の物で充分。
飼育容器の目安 一匹 30×30×30
二匹 40×30×30
三匹 60×30×40
(成体の場合)
•フィルター(エアーポンプ)
極論用意、設置する必要はないが、水質悪化を防ぐ面と、水の流動を作ることによる生体の適度な運動を促すという目的がある。
とはいえ野生化では、止水域(湖沼、溜池など)を好んで生息する為、水流が弱い物を使用する
例えば、投げ込み式フィルターや、外掛式のフィルターなど。
一匹であれば投げ込み式フィルターで充分。又、投げ込み式フィルターや底面式フィルターを用いる場合は別売のエアーポンプが必要になるので留意。
•塩素中和剤(カルキ抜き)
ハイポと呼ばれる固形状の物でも良いし、液体タイプのものでも良い。
ただ本種は著しく水を汚すので、こまめな換水が必要になり、固形タイプ(ハイポ)の方が経済的に良い。換水時の水道水に含まれる塩素を中和する際に必要となる。
•餌
新鮮な魚介類や冷凍アカムシなどが主流でよく用いられる。生息地では多岐にわたって採食をする為、さまざまな物を与えること。生きた小赤や昆虫類をサイズに応じて与えるのも良い。
•観賞魚用ネット(金魚網)
いわゆる金魚網と呼ばれる物。換水時の生体の移動などに用いる。
販売されている中で一番大きいサイズの物を選ぶと良い。
以上。全て観賞魚ショップや通販で購入できる。
次に、あったほうが良い物は、
•熱帯魚用ヒーター
水中に沈めて使用するタイプのヒーター。温度一定型全自動温度管理機能が付いているもの(サーモスタット不要)が良い。設定温度が25〜28度の物を用いる。
又、飼育容器の水量に見合ったヒーターを選ぶ事
•底砂
あると生体の環境の慣れが早い気がする。目の細かい「川砂」と呼ばれる物の使用を推奨。
必ず観賞魚用のものを用いる事。
•シェルター
植木鉢を縦に半分に割ったようなもので良い。あると生体が落ち着く(?)
流木を使用する場合は数週間水に浸けておき、アク抜きをしてから使用する事。
•換水用手動ポンプ
ぶっちゃけ灯油用の物で代用可。専用のものが良い方は、観賞魚用コーナーに必ずあるはず。
灯油用のものを使用する際は必ず未使用の物を用いる事!!
以上。こちらもホームセンターや観賞魚ショップ、通販で入手できる。
○セッティングについて
本種はとにかく水を汚し、レイアウトも破壊してしまうことが多い。
筆者はなるべくシンプルなレイアウトを推奨する。
〈シンプルなレイアウト例〉
•フィルター無し
フィルターも設置せず、底砂、シェルターも設置していない例。換水などのメンテナンスがしやすい。
•フィルター有り
フィルターは外掛式の物を使用。水槽は40×20×30cm程度。底砂は赤玉土を使用。
グリーンとしてウキクサを入れた例。生体をより清潔で自然に近い環境で飼育出来るというメリットがある。※生体は別容器
筆者の主観だが、ツメガエルは水をよく汚し、力が強く貪欲で手に触れる物ならなんでも噛み付いたり、丸呑みにしてしまうので、出来るだけシンプルでメンテナンスがしやすい飼育環境で本種のみの飼育を推奨する。でも、90クラスの水槽で、バリバリにレイアウトして、濾過回して飼育しても面白そうですね。
○導入までの手順
どの生物を迎える場合にも言えるが、飼育用品をあらかじめ揃え、セッティングまで行っておき、「後は生体の導入のみ」という状態にしておく事が望ましい。特にフィルターを設置する場合は、一週間程前から、回しておくのが理想。
水合わせに関してはそこまで几帳にならなくて良い。購入当時の袋のまま、飼育水槽に浮かべて置き、30分程度水温合わせを行ってから、水槽内に飼育水ごと移す。
○水温管理
本種は非常に環境適応能力が強いので、冬季でも水温が5度以下(極論、水面が凍結しなければ)でも生存が可能。だが理想は、25度以上なので、冬季はヒーターを入れる事を推奨。
☆普段の管理、世話について
大きく次のようなものがある。
•給餌
•換水
•定期的な大掃除
•温度管理
一つずつご紹介。
•給餌
本種は与えた分は食べ尽くしてしまうので、飼育者が管理してやる必要性がある。
春〜夏季は、子ガエル、成体共に2〜3日に一回の間隔で、一匹につき1×1cm程度の魚介類やアカムシなど、さまざまな餌を与える。
秋〜冬季は、活性が低下する為、10月〜11月頃までは子ガエル、成体共に3〜4日に一回の間隔で春〜夏季と同じ分量の魚介類やアカムシなどを与える。
11月〜3月頃までは、7〜10日に一回の間隔で食べるようなら、一匹につき春〜夏季までと同じ分量の魚介類やアカムシなども与える。水温が23度を上回るようになったら、春〜夏季までと同じ給餌方法に戻す。※ヒーターで一年中水温が25度以上も保っている場合は、一年を通して春〜夏季までと同じ給餌方法で良い。
•換水
分かりやすく、「水が汚れたら」、ではなく、給餌後1日経過したら、全〜二分の一換水を行う。給餌直後に換水を行うと、体調を崩す事がある為。
それとは別に、給餌後に食べ残した餌はネットなどで除去する。
フィルター有りの場合は、換水用手動ポンプを使って行う。
フィルター無しの場合は、生体をネットで飼育水を張った別容器に移し、容器ごとトイレに持っていき、ひっくりかえして水を捨てる。という方法が最も手軽である。
•定期的な大掃除
1か月〜2か月に一回、底砂とフィルターを設置している場合は、底砂を洗浄する。又、フィルターの濾材は、定期的に画像のような茶色に汚れたら、新しいものと交換する。
•温度管理
ヒーターを入れている場合は、水温が20度を上回るようになったら外す。
夏季は水温が28度を上回らないように、日陰の通気性のいい場所に飼育容器を設置する、観賞魚用の小型ファンを設置するなどの工夫が必要。
●その他
※本種は日本を含め世界中で外来種として定着が確認させています。絶対に河川への放流等は避けるようにしましょう。
※換水時の汚れた飼育水は、下水に流す事(衛生面の観点から)
※とにかく脱走するので、蓋選びはしっかりしましょう。
●セッティングにかかる総費用(飼育器具)
ケージは、ホームセンターなどで販売されている「金魚飼育セット」というフィルター、水槽、エアーポンプがセットになっているものがコスパ良。
それを使用した場合(フィルター有り)(単独、もしくは二匹で本種のみの場合)
飼育容器、フィルター、エアーポンプ 約1500円
塩素中和剤 約100円
(フィルター無し)(単独もしくは二匹で本種のみの場合)
飼育容器 約1200円
塩素中和剤 約100円
フィルター有りの場合2000円有れば、セッティングが可能。
フィルター無しの場合1500円有れば、セッティングが可能。
●維持費(餌代)の目安(水道代、電気代を除く)
〈春〜夏季〉三匹飼育した場合1ヶ月あたりの餌代(冷凍アカムシ使用例)→約450円
〈秋〜冬季〉三匹飼育した場合1ヶ月当たりの餌代(冷凍アカムシ使用例)→約200円
※これら(上記)はヒーター無しでの場合です。ヒーターで加温飼育の場合は一年を通して〈春〜夏季〉の場合と同じです。
他にも 一か月に一回フィルター飼育の場合は濾材交換が必要なので、投げ込み式フィルターを使用している場合で季節問わず一カ月約400円程度上乗せされる。
●生体費(生体の価格)
ノーマル種 (体長3〜5cmの個体を一匹の場合)約300円
アルビノ種 (体長3〜5cmの個体を一匹の場合)約600円
※ショップにより大きく異なる点に留意すること。
※筆者の経験、調査結果より
以上、長々と書いていきましたが、本種はとても魅力的な種で、飼育情報も多く、
飼育も容易なので是非飼育にチャレンジしてみて下さい♪